一般的に、手作業で、ペーパーフィルターとドリッパーを使ってコーヒー抽出液をサーバーに落としていくコーヒーの淹れ方をハンドドリップと呼んでいます。
年老いた珈琲豆焙煎屋の独断と偏見による思い込みかもしれませんが、ペーパーフィルターとドリッパーを使ってコーヒー抽出液をサーバーに落としていくコーヒーの淹れ方は、向流多段抽出の理論に依存していると考えています。
ペーパーフィルターとドリッパーを使ってコーヒー抽出液をサーバーに落としていくハンドドリップでコーヒーを淹れる場合、抽出速度や焙煎コーヒー豆粉砕物とお湯の混合現象の影響を受けているので、理想的な理論段からのか偏寄(片寄り)が発生するはずだと考えます。
ハンドドリップで、ドリッパー内のペーパーフィルターに充填した焙煎コーヒー豆粉砕物粒子に注ぐお湯(抽剤)はいつ流ですから、お湯の注ぎ方次第で1段目の理想段(理論段)から2段目の理想段(理論段)に、あるいは、2段目の理想段(理論段)から3段目の理想段(理論段)に予想以上あふれ出る可能性があると思います。
また、焙煎コーヒー豆粉砕物粒子(抽料)とお湯(抽剤)の混ざり具合(接触の仕方)によって、コーヒー成分の抽出量や抽出するコーヒー成分の種類に偏寄(片寄り)が発生することもあると思います。
理想的な理論段からの偏寄(片寄り)は、段効率という数値で評価することができると考えています。
ですから、段効率が予知可能なら、その段効率を使って、コーヒーを淹れるのに最適な理論段数を推定することも可能になると考えています。
ただし、段効率や1つの理論段の大きさを推定するのには、コーヒー成分抽出の速度過程を考慮するという重要な要件が存在していると思います。
例えば、コーヒー抽出で、ある量のお湯を3分間注いでコーヒーを淹れるという操作を想定してみると、3分間正確に最適な条件でお湯を注いでいるわけではなくて、その時・その時で微妙なブレが生じていると思います。しかし、全体的に見て3分間という時間を使ってお湯を注ぎコーヒーを抽出すれば、その微妙なブレが見えなくなってしまいます。
ハンドドリップによるコーヒー抽出は、向流多段抽出の理論に依存していると考えているわけですが、年老いた珈琲豆焙煎屋はラプラスの魔女では無いわけですから、ドリッパーに充填している焙煎コーヒー豆粉砕物充填層にお湯注いで、そのお湯が次の段階でどのように微妙な動きをするのかを予知する能力は持っていません。
しかし、約30年間、珈琲屋商売を営んでいるので、全体の大雑把な動きなら想像することができます。
焙煎コーヒー豆粉砕物粒子(抽料)とお湯(抽剤)とが向流的に移動していると考えると、その移動している間に各組成が連続的に変化しているコーヒー抽出方法がハンドドリップによるコーヒー抽出だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。
ということで、ハンドドリップによるコーヒー抽出は、向流多段抽出の理論に依存する向流微分抽出だと考えているわけです。