70歳老人の食品学雑記帳

食品学を正式に学んだことの無い70歳の老人が、独断と偏見による食品学を書き綴っています。

固液抽出の仕組み | コーヒー成分抽出の仕組みに関する妄想

固液抽出をWikipedia で調べると・・・

個液抽出は、種子や葉など個体の混合物から、溶媒に溶出する成分を抽出する。

wikipedia/抽出 より 

ちなみに、抽出については、「人類最古の化学的分離操作法で、植物など原料中に含まれている成分を選択的に分離する操作をさす」と説明されています。

 

焙煎コーヒー豆の組織 

1個の焙煎コーヒー豆の中には、平均直径20㎛(マイクロメートル)の細胞と、直径の2500~10000倍の長さを有する細孔が多数存在していると言われています。

コーヒー可溶性成分の抽出速度が大きいのは、この多孔質微細構造(ハニカム構造)に起因していると説明されています。

ちなみに、焙煎コーヒー豆粉砕粒子の粒度が大きいほど、1粒の中に含まれる空隙の数が多くなるはずです。

直径1ミリ前後の焙煎コーヒー豆粉砕粒子が約10万個の空隙を抱えているのに対して、微粉は100個程度の空隙しか持っていないと言われています。

1粒の焙煎コーヒー豆粉砕粒子に含まれる空隙の数が多ければ、外気に触れる空隙の数が少なくなるわけですから、当然、酸化などによる品質変化が少なくなると考えられます。

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旦部幸博著、コーヒーの科学P221より引用
コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)

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焙煎コーヒー豆成分の抽出

焙煎コーヒー豆からのコーヒー成分抽出は、次の3段階から成り立っていると言われています。

(1)焙煎コーヒー豆粉砕粒子の湿潤化→細孔の中のガス(主に二酸化炭素ガス)を排除→抽出液が細孔内に充満。

(2)水溶性炭水化物の加水分解。

(3)溶解成分が、細孔内に充満している抽出液に拡散する。

コーヒー成分抽出の初期段階では、抽出液中の水が焙煎コーヒー豆粉砕粒子の繊維構造に吸収されることによっても、抽出液中の溶解固形成分濃度が増加すると考えられています。

 

食品原料の固液抽出の過程 

専門書によると、固液抽出は、非定常の幾つかの過程から成り立っていると説明されています。

一般的に、溶媒は、細胞組織の表面から、細孔や毛管を通して細胞内部に浸透して行って、細胞間隙を通って細胞表面に達します。

溶媒は細胞膜を透過することができるので、細胞内に侵入して抽出成分を溶解します。

溶媒に溶解した成分は、溶媒が十分に浸透した細胞組織内を細胞組織の表面に向かって移動して行き、固体と液体の界面の境膜(境目)を通って溶媒相へと抽出されていくと、年老いた珈琲豆焙煎屋は理解しています。

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ということで、抽出の過程をもう一度まとめると(上の図を参考にして)

(1)細胞組織内への溶剤の浸透

(2)成分の溶解

(3)溶解成分の細胞内から細胞組織表面への移動

(4)細胞組織と溶剤(液体)の境膜内での拡散(境目での拡散)

ちなみに、この溶解成分の細胞内から組織表面への移動の過程が、抽出の律速過程(一番速度が遅くなる過程)だと考えられているようです。

 

焙煎コーヒー豆粉砕粒子からのコーヒー成分抽出

妄想かもしれませんが、年老いた珈琲豆焙煎屋は次のように考えています。

焙煎によって空洞化した焙煎コーヒー豆の細胞が粉砕によって破壊されると、一部のコーヒー成分が焙煎コーヒー豆粉砕粒子の表面に滲み出てきます。その滲み出て来たコーヒー成分の洗浄や、毛管(or細孔)や融合した細胞部分を経路とする焙煎コーヒー豆粉砕粒子内部のコーヒー成分抽出の影響で、コーヒー成分抽出の初期には、コーヒー成分抽出速度は比較的に速くなります。しかし、抽出後半になると、破壊や損傷を受けていない空洞化した細胞組織内のコーヒー成分の抽出過程となるので、コーヒー成分抽出速度はゆっくりとしてきます。

また、焙煎コーヒー豆粉砕粒子内の毛管(or細孔)を通って細胞表面に達した抽剤(水、熱湯)は、細胞壁を通って細胞内に浸透して、コーヒー成分を溶解(or分散)させます。

抽剤(水、熱湯)の浸透に伴って、細胞(ハニカム構造の空洞部分)内の圧力が高まって(浸透圧が大きくなって)、細胞(ハニカム構造の空洞部分)は膨張して、細胞膜部分の細孔の孔径が拡大します。このため、コーヒーオイルなどの大きな成分でも透過できるようになります。

一度拡大した細胞(ハニカム構造の空洞部分)は、浸透圧が解消されても収縮することはありません。

 

組織構造を変化させる

食品成分の固液抽出の律速段階となる原料組織内における拡散は、組織の微細構造によって大きい抵抗を受けます。ですから、抽出に際しては、組織構造を破壊して原料を前処理することが必要となります。

抽出原料本来の組織構造を破壊して、抽剤の浸透性の良い新しい組織構造を形成することによって、抽出速度の改善が期待できると考えられています。

食品成分であるコーヒー成分の抽出も固液抽出ですから、その律速段階は、焙煎コーヒー豆粉砕粒子内での拡散段階だと年老いた珈琲豆焙煎屋は考えます。ですから、焙煎コーヒー豆からのコーヒー成分抽出においても、焙煎コーヒー豆の組織構造を破壊するという前処理が必要になると考えます。それが、焙煎コーヒー豆の粉砕です。

焙煎コーヒー豆を粉砕して、水(熱湯)の浸透性の良い新しい組織構造を形成することで、コーヒー成分の抽出速度を速くすることができると考えています。