和歌山市で暮らして来ました。これからも・・・

生まれてから65歳の今まで、和歌山市で暮らして働いて来たエカワ珈琲店の店主が、地元の話題を綴っています

和歌山市の中心ビジネス街の需要変化と科学的管理法2.0

エカワ珈琲店は、和歌山県庁の近く、和歌山市雑賀屋町39番地(区画整理前は25番地)で約60年間、珈琲商売を営んでいます。

1955年秋に喫茶店を創業、平成元年(1989年)に自家焙煎コーヒー豆小売商売を開始しました。

 

エカワ珈琲店が立地する和歌山市雑賀屋町を含めて、和歌山城周辺は、和歌山市の中心ビジネス街です。

そのビジネス街で働く人たちをターゲットとして生業商売を営んで来たのが、喫茶店時代からのエカワ珈琲店です。

ですから、エカワ珈琲店の歴史は、和歌山市中心ビジネス街の変遷の歴史なのだと思います。

 

 

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昭和の時代(特に、1980年代)、和歌山城周辺には、和歌山市の中心ビジネス街で働く人たちにサービスを提供する飲食店や喫茶店が多数存在していて、テナント料金も、現在(2015年)の2.5倍~5倍くらいしていたのだと思います。

それでも採算が取れていたのが、当時の飲食店や喫茶店でした。

 

 昭和の時代(1970年代、1980年代)、和歌山城周辺の喫茶店には、朝から夕方まで、近隣で働くビジネスマンやビジネスウーマンが来店していました。

お昼ご飯を提供する飲食店も、午前11時頃~午後2時頃まで、コンスタントに客席が回転していて、客単価は数百円くらいでした。

 

エカワ珈琲店は、1997年頃、半年間くらい、食事メニューを提供する喫茶店を営業したことがあるのですが、お昼時の客単価は800円くらいで、毎日、午前11時半~午後1時半頃までの2時間で20人以上のお客さんを集客していた思い出を持っています。

喫茶店や飲食店だけでなくて、あらゆる形の街に依存する商売が成り立っていました。

 

21世紀になると、和歌山城周辺で働くビジネスマンやビジネスウーマンは、喫茶店を利用しなくなって、喫茶店がものすごく採算性の悪い商売となってしまって、家賃も払えなくなってしまって、自己物件で営業している喫茶店以外は、ほとんど閉店してしまっています。

お昼ご飯を提供していた飲食店はというと、午前11時~午後2時までだった集客可能時間が、正午~午後1時頃までになってしまって、お昼だけの商売では採算に合わなくなってしまって、お昼ご飯を提供するだけの飲食店は、ほとんど存在できなくなっています。

 

昭和の時代(特に、1980年代)と比べて、ビジネスマン、ビジネスウーマンのお昼ご飯に使う金額も下がっていて、500円くらいが相場になっているわけですから、お昼ご飯だけを提供する飲食店の営業は成り立たなくなってしまって、現在(2015年)、和歌山城周辺で営業している飲食店は、夜の営業に依存する商売をしています。

 

都会のビジネス街には必ず存在している牛丼などの飲食店チェーンですが、立地的に商売が成り立たないのか1店舗も存在していません。

その代わり、和歌山県庁や和歌山市役所、中央官庁の和歌山支所などの庁舎周辺では、お弁当を配達する車が忙しそうに走り回っています。

ということで、和歌山城周辺の喫茶店数も飲食店数も、昭和の時代と比べると、相当に減少しています。

 

和歌山県庁、和歌山市役所、中央官庁の和歌山事務所、関西電力や郵政関係の企業やNTT西日本の和歌山支店、都市銀行や大手証券会社の和歌山支店など、役所や大企業のオフィス(和歌山支店)は、昭和の時代とほとんど変わらず、和歌山城周辺の和歌山市の中心ビジネス街に立地しているのですが、昭和の時代に数多く立地していた中小企業や小規模零細事業者のオフィスや店舗は、ほとんど無くなってしまっています。

 

昼間の飲食・喫茶需要に依存している喫茶店や飲食店が減少して、中小企業や小規模零細事業者のオフィスや店舗が減少しているわけですから、和歌山城周辺のテナントビルは、入居者不足に喘いでいるようです。

 

和歌山城周辺の和歌山市の中心ビジネス街ですが、そこに立地しているオフィスの外観が同じであっても、その中身は、2000年前後からの十数年間で大幅に変わってしまっているのだと思います。

オフィスで働いている人たちの働き方が変化しているので、小規模零細で昔ながらの生業商売は、ビジネス街で通用しなくなっているのだと思います。

 

sethgodin.typepad.com

 

セスゴーディンさんのブログ「Scientific Management 2.0 」を読むと、そのことを納得することができます。

 

130年前、フレデリックテイラーは、工場労働の概念を変えてしまいました。

科学的管理法という概念が導入されて、工場労働者の働き方が変わってしまいました。

工場の外観が変化していなくても、工場で働く人たちの働き方が変わってしまったのだと思います。

 

21世紀になって、オフィスのデジタル化(OA機器の導入)が進行して、オフィスで働く人たちの仕事にも、科学的管理法の概念を導入できるようになって来たのだと思います。

オフィスが工場化して、そこで働く人たちの働き方も変えてしまう、科学的管理法2.0の時代が始まっているのかもしれません。

 

オフィスで働く人たちの仕事の仕方を科学的に管理できる時代になって、オフィスで働く人たちの時間的・精神的な自由度が少なくなっているのかもしれません。

その結果として、昼間のビジネス街での個人的な消費需要が減少しているのだと思います。

この傾向は、仕事の種類や事業所数が限定されている地方の町のビジネス街ほど、顕著なのかもしれません。

 

オフィスオートメーションが普及して、ホワイトカラーの生産性が向上して、オフィスが工場化して、オフィスで働いている人たちの需要がオフィス内で完結するようになったのだと思います。

オフィスのお昼ご飯は社内食堂かお弁当で、オフィスで飲むコーヒーはオフィスコーヒーサービスで、事務作業に必要なちょっとした消耗品はアスクルや事務機器会社からの配達でというように、ホワイトカラーが仕事に集中できる環境が整えられています。

 

ホワイトカラーの生産性が低いオフィスは排除されてしまって、生産性の高いオフィスだけが残っているのが、現在のビジネス街なのかもしれません。

そして、昔風のビジネス街需要に依存していた生業店舗や小規模店舗は、生産性が向上したオフィス需要に対応できずに排除されて行ったのだと思います。

 

エカワ珈琲店は、昔風のビジネス街需要に依存する商売にサヨナラしようと、これまでに何回も何回も考えたのですが、商売の仕方を大幅に変更する勇気が無くて、中途半端な商売を続けてきました。

年齢と経験がハンディーとなってしまって、どうしても保守的な思考を優先させてしまったわけです。

 

最近になって、ようやく、昔風のビジネス街需要にサヨナラする決心がつきました。

市場にお客さんが存在していないのに、お客さんが存在していると錯覚して、いつまでもいつまでも、幻のお客さんを追い求めている何て、相当に愚かな商売人のすることだと思いますから。